真の教育の姿とは、もっとも身近な家庭の中に存在すると思います。それでは、今の子供たちにとって、教育に求められているものとは一体何でしょう。それは、単に学問優秀な人材を育て上げることを意味するのではなく、現代人が忘れかけていた昔ながらの家庭における親としての存在、生き様、愛情などといった部分を呼び戻してあげることだと思います。
現実に目を向けると、教育現場は、いじめ、不登校問題などで崩壊し、それに呼応するように子供たち自身も自分をコントロールできなくなり、俗に言う引きこもりや、切れてしまう子供を作り出してしまう状況も少なからず存在します。まさしく教育の基本的な部分がなくなりかけています。
本来、教育現場には、教育の基本とも言える「躾」の場が存在します。それを教えることのできる唯一の伝達者として親である私たちがいるのです。言うなれば子供の教育は、まず親自身の心の成長から始まるのです。難しいことは何もありません。良い悪いを判断し、事実に正面から向かい合う。これこそ現代の親として我々が身につけなければいけないものではないでしょうか。
愛情を持って叱りましょう。本音で子供と接してみましょう。昔ながらの家庭には、当たり前のように存在した光景が今では少なくなってしまっています。本年度、家庭教育再考委員会では、失われつつある昔ながらの親としての立場、親自身の心の成長、そして分け隔たりのない親子の関係を見つけ出すために、真実の教育の原点は家庭の中にあると考え、親としての立場から何を考え、どのような心構えで子供と向き合っていくべきなのかを念頭に置いた上で家庭での教育における「躾」の大切さを見直し、また発見していただける機会を提供します。
その結果として、私たちが忘れかけていた、親が子供に真正面から向かい合うための強い気持ちを持つことができ、子供にもその気持ちが伝わります。そして、家庭教育の第一歩となる家庭内における親と子の強い結び付きが生まれ、日本人が持ち合わせている道徳心そのものを呼び戻してくれます。そこには原点に戻った美しい日本を創造する将来への希望を見つけ出すことができると確信します。
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